火にくべる

火にくべてしまいたい日常の機微

2022-01-01から1年間の記事一覧

喫茶廊

ひかり降る音だったのかくしゃくしゃの紙を広げて飛行機を折る 塗りたての有機溶剤閉じこめた部屋に適度な暮らしつづいて ピンボケにならない程度に目が冴えてハイファイ寄りの夜を捉えた ごめんなさい。いつでもいいよ。また会おう。親切なこと、初めて知っ…

テスラ

すこしずつ面白いなら笑うしか 氷が溶けてあふれるグラス 何しても羽根は羽根よな外套に詰めたカードと失敗談と つまんないものを壊して去ってゆく君こそが花 ひときわつよく 命ほどく糸をたどって透かし編む無私の祈りのうつくしいこと 空想の流砂ひとまず…

春魔女

血まみれの果実噛み砕き春の中ひとつ残らず行ってしまった 玉うさぎぴょんぴょんぴょんと飛び跳ねる跡形もなく一言もなく 寝息だけ聞こえる部屋でピースする精一杯の強がりや僕 自意識が強くなってく道路にて追いかけることやめて眠った 春魔女になって雲ま…

ファイトクラブ

血のついた綿棒 ひかりに騙されて透かせていたい甘えていたい 言葉にはできないままの誓いとか叶わないのを刻んで食べる ひとつまみの塩はらはらと口をつぐむこれぐらいなら見つからないから なくしたイヤホンなくしたパスワードなくした比べたくないかがや…

朝の夢

しめやかに息を消したらここに来て ニライカナイにつづく砂浜 太陽を浴びた子みたいな名前して1, 2, 3と片足を出す 朝の夢 きみが他人になっていく過程はなぜか陽あたりがいい クロールで傷をつけても空振りが鳴る 陽だまりに手が届かない もう十分おかしく…

ネスト

夜更けてリピート再生はじまってきみが踏まずにいる白い線 海沿いの地下鉄 無色の潮風と無臭の衝動ごちゃまぜになる 「108歳まで生きてそう」とか匿名で ずっと笑っていてほしかった 在り方はそのまま一つの樹になった、らしい。散るとか忘れたころに 書き込…

仮想海

青い海、水平線へ落ちてゆけ!ゆけ!この場所で出逢いつづける しらじらと波が砕けてまたここに返る今年の春もさむいね 寒暖差 雨とくもりのあいだからそそぐひかりを待ち続ける差 雲が溶け眠いまぶたの稜線にはりついたまま白んでく空 きみの朝の音を聞かせ…

ゾンビ

鳥が寝ている いまだ葉が残ってる 小刻みに震えている終焉 ヤンキーの群れ留まり木でひよひよとひとつの画面釘付けになり 嵐電の前照灯に見つかって走る 悪いことしては逃げてる 死んだ人の文章いつのまにか本になってる 貼り絵のようにざらつく ブレブレな…

アディショナル・タイム #-01

「ゆるやかに生きていくには」「若いよね。」「一緒にコンサル行って死のうよ!」 底無し沼ひとり覗き込んで帰る 指に小さなかさぶたがある 雨粒入りのコーヒーぐるぐるかきまぜてなにも知らないことにしておく 生きづらさの一つひとつを名づけよう 名前のつ…

冷蔵肖像

あきらかにどうでもよくなりあきらかによくなってゆく季節のなかへ 生きて届く美しさならばそれもまたいいね ときどき道が湿ってる 遠出していきたいところがなかったら適当に魚と絵を見る ぬるま湯の人生とかを科学する。湯沸かし式で仕合わせになる? から…

脱藩前夜(室内)

角刈りに虚構はあれど綾波と対峙しているヒーローみたいな 放擲する荷物にPC入ってる まんまる軌道で地球と翔んだ 「九分九厘」って9.9パーセントじゃん 小さなあらを探してほほえむ おまえはどこにいくの オリーブオイル畑にいる海の守り人になる 真に受け…

虫かもしれん

電話越しいつもわらってカカカカと もしくはそういう虫かもしれん 「友達は年一人できたら良いほうじゃない?」たしかにその説もある 10個メッセージ送ってひとつだけ相槌混ぜるそれも愛やし もう3日もなく眠れずに玄関を開ければどこでもドアに変わった 花…

マイト

ゆるやかに死んでいくには家を出てコートも着ずに魚のように 朝晩にほころぶものを忘れては刺さってみるよわすれていくよ この道はひたすらまっすぐ 思い出を踏みつけてゆく春はつかの間 お金払いたくなったらコーヒーを飲みに行く まだ翼生えてる どうせな…

アディショナル・タイム #01

コーヒーの匂い そのあと春の風 ここから先はアディショナルタイム 手が届きそうなふるまいばかりして不器用すぎる太陽の下 Forbiddenのまま待ちつづける崇い陽に包まれた生活がある 水が重なる場所はことさら水の色になるからいつもうれしい 大昔自転車で過…

きのみ乱獲隊

拝啓 お元気ですか。 今年は秋がとっても短くて、いつの間にかコートやらマフラーやらを引っ張り出している自分がいました。 それなのにまだ息が白くならないことを、一段ともどかしく感じる今日このごろです。 本当は、この野原に、焼きどんぐりを焼いたり…