火にくべる

火にくべてしまいたい日常の機微

テスラ

 

すこしずつ面白いなら笑うしか 氷が溶けてあふれるグラス

 

 

何しても羽根は羽根よな外套に詰めたカードと失敗談と

 

 

つまんないものを壊して去ってゆく君こそが花 ひときわつよく

 

 

命ほどく糸をたどって透かし編む無私の祈りのうつくしいこと

 

 

空想の流砂ひとまず飲み込んで御都合主義の真ん中に立つ

 

 

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濃紺と呼べるくらいに青色の夜をなぞって目頭に塗る

 

 

黒猫の覗くショーケース、向こう側 やさしさのあとやさしくぬける

 

 

15℃のペールトーンに這う線路 大著に寄せるあとがきを書く

 

 

生ぬるい風の朝辺に突っ立ってプール帰りの退屈に似た

 

 

褐色の桜と明けゆく空遠く たまにあの日に帰れなくなる