火にくべる

火にくべてしまいたい日常の機微

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

文化資本/初夏譚

面白く生きたあかつき独房のPM4:04 Not Found 「大学の闇」ってあだ名ついてたらどうしようかな 日々がたのしい それもたぶん本望でしょと言われたらすずめが鳴いて答えの代わり 軽率に背中を押して手を振ったきみの聡さを信じたかった あの春より息のしやす…

佳境-架橋

ぐるぐると回るカードに邪魔入るキャンセルボタンでこの日を閉じる ほっぺたを押す見え見えの茶番から祇園四条の橋まで飛んだ あの頃から破茶滅茶だった水面に指を浸すようなあやまち 嘘を嘘と見抜く力の大切さ流血事件のぬるい水滴 水占い祈りの先をなくし…

桃色月

こんな日に河原で寝たら風邪ひくよ まんまるな月 しずかに透る 勝算はない地方都市満員のカフェテリアにて打ち明け話 半密談 逃した魚は大きいといわんばかりのPDCA (行きつかない真昼のおもちゃ博物館Googleマップがため息をつく) 行きついた深夜のおもち…

あからさま

赤い辞書を手繰るように知ってゆくちいさな癖や言外の意味 愛すべきY字路、踏み外したレール、道路標識まで友だちにする ある区域はみ出したくて煎餅に「終わりかも〜」とうそぶいてみる あまい唾液、葉の抜け落ちた常緑樹、「!」、永遠に部屋 明くる日を捨…

ヘザーライト

消えていく瞬間に星またたいた行き止まりとはわからぬように 下り坂負荷をかけると光ってく 自転車漕いで街を斬り裂く 想像力かもしれなかった 海岸にない思い出も多重露光で 捨てるもの選んでほしい たしかめることから背いて置き去りの島 積み上げて折り重…

喫茶廊

ひかり降る音だったのかくしゃくしゃの紙を広げて飛行機を折る 塗りたての有機溶剤閉じこめた部屋に適度な暮らしつづいて ピンボケにならない程度に目が冴えてハイファイ寄りの夜を捉えた ごめんなさい。いつでもいいよ。また会おう。親切なこと、初めて知っ…

テスラ

すこしずつ面白いなら笑うしか 氷が溶けてあふれるグラス 何しても羽根は羽根よな外套に詰めたカードと失敗談と つまんないものを壊して去ってゆく君こそが花 ひときわつよく 命ほどく糸をたどって透かし編む無私の祈りのうつくしいこと 空想の流砂ひとまず…

春魔女

血まみれの果実噛み砕き春の中ひとつ残らず行ってしまった 玉うさぎぴょんぴょんぴょんと飛び跳ねる跡形もなく一言もなく 寝息だけ聞こえる部屋でピースする精一杯の強がりや僕 自意識が強くなってく道路にて追いかけることやめて眠った 春魔女になって雲ま…

ファイトクラブ

血のついた綿棒 ひかりに騙されて透かせていたい甘えていたい 言葉にはできないままの誓いとか叶わないのを刻んで食べる ひとつまみの塩はらはらと口をつぐむこれぐらいなら見つからないから なくしたイヤホンなくしたパスワードなくした比べたくないかがや…

朝の夢

しめやかに息を消したらここに来て ニライカナイにつづく砂浜 太陽を浴びた子みたいな名前して1, 2, 3と片足を出す 朝の夢 きみが他人になっていく過程はなぜか陽あたりがいい クロールで傷をつけても空振りが鳴る 陽だまりに手が届かない もう十分おかしく…

ネスト

夜更けてリピート再生はじまってきみが踏まずにいる白い線 海沿いの地下鉄 無色の潮風と無臭の衝動ごちゃまぜになる 「108歳まで生きてそう」とか匿名で ずっと笑っていてほしかった 在り方はそのまま一つの樹になった、らしい。散るとか忘れたころに 書き込…

仮想海

青い海、水平線へ落ちてゆけ!ゆけ!この場所で出逢いつづける しらじらと波が砕けてまたここに返る今年の春もさむいね 寒暖差 雨とくもりのあいだからそそぐひかりを待ち続ける差 雲が溶け眠いまぶたの稜線にはりついたまま白んでく空 きみの朝の音を聞かせ…