火にくべる

火にくべてしまいたい日常の機微

アディショナル・タイム #01

コーヒーの匂い そのあと春の風 ここから先はアディショナルタイム


手が届きそうなふるまいばかりして不器用すぎる太陽の下


Forbiddenのまま待ちつづける崇い陽に包まれた生活がある


水が重なる場所はことさら水の色になるからいつもうれしい


大昔自転車で過ぎた公園のなかに気持ちで足跡つける


なにもかも忘れてしまえ 冬の手も強引に繋ぐ あと30歩


「地味だけど大事な仕事」2000画の田中氏を書き海をおもった


空白の日をまた次の日と入れ替えてわけもわからずテトリスをする


出まかせもテクスト論に弄されて言わないはずのほんとうになる


ぼくたちの気まぐれをいま語の生産性の高さになぞらえてみる


フライングタイガーにいた謎の魚二人で抱いて踊り合った夜


5年前誘った席でハンバーグ うそみたいに聡くなったよね


きみの背がぼくを越してもまなざしはきみのままだね すこし泣いてた


きみとただ会えてよかった出会えたらそれでよかった奇跡抜きでも

 

地下鉄の底に横たういつぞやのぬめった河に足を浸した


道端に煙ひろがる冬の果て今すぐここに埋まってもよい


今日買うの絶対酒じゃなくて火とタバコだったわ どれも嘘です


アディショナル・タイム 近々水平線 工事途中の部屋でまどろむ