咲かないで 「探さないで」ときみはいう ただここにだけあるときめたのに
もう閉じてゆく花びらにふれながら明日の答案用紙は白紙
朝焼けは急に底冷えに変わってみじめだねって都会のソナタ
心停止音によく似た口笛を吹いたらそこにはもう戻れない
大きく口をあけてわらってほしくない ためらいながらうなずいてほしい
宝箱だと思ってるその胸の中のごちゃごちゃ全部捨ててよ
ひとことも発さず吸って吐くだけで教えてほしい おしえてほしい
彼方にて光った死体 いなくてもいい〜おわった世界のあいだ
内臓を引き摺り出してすりつぶし文字になおしたのを夜に放つ
流れ星 交錯しても治ったらおなじだろうしもう間に合わない
たすかると思いたいレースカーテンの空に流された会話の群れ
こっち来てこっち来ないで波打ち際で運命をいじめつづけてぼくら
雨降りの電球ちぢれる音を聴くそれから同じ方向を向く
祈りにも似たはにかみをたずさえて十分おきに相槌をうつ
目覚めたらさよならだった 音速を超えて彼女と飛ぶ夢だった