火にくべる

火にくべてしまいたい日常の機微

6/22

ドライヤーで髪を乾かしていると急に、「幸せになりたくない」と考えていた理由が腑に落ちた気がして、すこしだけ前のめりになった。

正答を無意識に追い求めるのをやめたい。本来の自分を誰も肯定しないだろうと思うのをやめたい。もう怖い。怖いけれど、認められたり、反論されたり、一般的でない気持ちがあることを許されたり、そういうことをひとつずつ重ねたら、何か変わる気がする。難しいことだ。それでも。

焦り、古傷、うっすらまとわりつく希死念慮というか、絶望。前進への恐怖。何度も文字を書いては消して、こんな気持ちは曲にしてしまうほかない。音楽には、ふだんはとても口にできないような悲しいこと、暗いことの存在を認める力がある。

 

あらゆる時のめぐりを意図的になかったことに、背いているのは私の方で、自室の天井に波風のない日々を眺める。あらゆるものごとを起こしたいのに、なるべく創造的でありたいのに、本質的には何も起こらないことを望んでいるような、そんな心地がする。